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首都直下地震で都内避難所は500万人分不足

もし、首都直下地震が発生したら、720万人の避難者に対して220万人分の避難所しか用意されていません。都内だけで500万人分不足します。

これは規模にして東京だけで東日本大震災の19倍の避難者発生する事を意味します。

4日目以降に、救援物資が無事に避難所に届くかどうか、不足なく被災者に行き渡るか、内閣府のデータを元に最悪の想定を考えてみました。

www.nhk.or.jp

都内は避難所不足が危機的状況

内閣府は、首都直下地震が発生した場合、最大避難者数が2週間後に720万人に達すると想定しています。

首都直下地震の避難者の想定数は、
1995年の阪神淡路大震災の24倍、
2011年の東日本大震災の19倍、
2016年の熊本大分地震の40倍の規模です。

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(参考:中央防災会議資料を元に作成)

熊本地震で報道されていたように、食料・水・毛布などの支援物資は、道路の寸断で物流がストップし、役所機能はパンク状態になりました。

首都直下地震では、720万人の避難者のところに救援物資は直ぐには行き渡りませんし、行政からの援助は期待できません。

最悪の想定(内閣府中央防災会議)

全壊・焼失家屋 :  最大 61万棟

死者      最大 2.3万人
要救助者 :     最大 7.2万人

避難所避難者 : 最大 720万人(2週間後)
帰宅困難者数 : 最大 800万人(平日の発災直後)

首都圏全体で800万人の帰宅困難者

東京都昼間人口が1500万人
帰宅困難者が800万人です(大阪府人口は880万人と同程度)
東京都の避難所は220万人分の収容能力しかない(人口の15%)
 →負傷者、子どものいる家庭、高齢者、妊婦、障害者などが優先される
帰宅困難者の受入や休息が困難な事態が予想

救援物資の補給

指定避難所の備蓄食料と水3日分
4日以降は自衛隊の災害派遣によって、炊き出しや物資の輸送が本格化

個人的に最悪の事態を想定

ここからは、公的データを元にした私見です。

地震発生後

  • 同時多発的に建物の倒壊、火災が発生、救助活動始まる

  • 停電、断水、ガス供給停止、携帯電話の通信制限

  • 鉄道の脱線で多数の運転見合わせ区間

  • 首都高の倒壊で多数の通行止め区間

平日の夕方の場合

  • 発災後、帰宅困難者(育児、介護が必要な家族がいる人)は一斉に動き出す
  • 帰宅経路のコンビニで飲料、食料、バッテリーチャージャー、乾電池、懐中電灯の品切れ、家電量販店でラジオの品切れ、街場で自転車が入手困難になる

  • 鉄道は広範囲の不通区間、駅施設損壊、駅の閉鎖・閉め出しが発生

  • 停電により駅の案内板や街頭テレビからの情報が遮断

  • 道路は大渋滞、バス、タクシーは大混雑で乗ることが出来ない

  • 駅やコンビニ、公衆トイレ、避難所のトイレは断水で汚物が詰まる

  • 帰宅経路の避難所は、収容人数オーバーで大混雑

  • 帰宅困難者分の物資は避難所に用意されていない。予め各自で水、食料を調達する必要性→東京都条例では企業に3日間の備蓄を求めている

災害援助は量質ともに圧倒的な不足

熊本・大分の地震では、物流の遅延によって、水、食料、生活物資の不足は深刻でした。道路の寸断で物流が止まり、被災地での物資分配のオペレーションが大混乱していたことが原因です。

首都直下地震では、熊本地震の40倍の避難者720万人に対応しなければなりません。

内閣府では、災害派遣・広域派遣の警察、消防、自衛隊の投入規模は14万人としています。

警察、消防域内最大動員数(東京、神奈川、千葉、埼玉)

  • 自衛隊:約11万人(1都3県以外の部隊も含む)
    航空機450機、船舶330隻(警察庁、消防庁、海上保安庁、防衛省で運用する数)

  • 警察職員:8万人 
  • 消防職員:4.5万人
  • 消防団員:8.2万人

そのうち、東京都職員及び23区職員 約20万人が投入されます。

  • 警視庁警察官 4.3万人
  • 東京消防庁職員1.8万人
  • 一般都庁職員 1.8万人
  • 都立学校職員 6.4万人
  • 東京23区職員    5.8万人

全体で35万人~40万人規模で被災者の救助、消火活動、交通整理、治安維持、避難所の運営、救援物資の輸送が行われる予定です。

その他、医療従事者+ライフライン(電気+水道+ガス+通信)、インフラ(道路、鉄道、バス、流通、ガソリン)の民間事業者の復旧活動が行われます。

水・食料・支援物資の輸送供給

被災地全体で必要な1週間あたりに必要な物資の容量です。

・飲料水:22万㎥ (都全体:17万㎥)

・食料:5,300万食 (都全体:3,400万食)
・毛布:37万枚
・大人/乳幼児おむつ:416万枚
・簡易トイレ等:3,150万回分
出典:首都直下地震対策 - 内閣府

最大4200箇所の避難所の開設、大規模避難場所200箇所開設で、支援物資の大量輸送、効率的な仕分け、避難者への食料の配給、生活物資の分配が必要。

想定されること

  • 水・食料、毛布その他物資が道路寸断、生産工場被災で大幅な品不足
  • トイレ不足、ゴミ焼却所が機能停止による衛生状態の悪化

非常事態で個人が対処できること

首都直下地震で予想されている避難者は、もし、首都直下型地震起きたらどのように行動するかスクリプトを考えてみました。

ポイント

安全確保 情報収集 避難行動 食料調達 衛生管理 


基本の行動 (東京都防災HP)

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出典:避難所及び避難場所|東京都防災ホームページ

避難行動スクリプト

安全確保:命を守る > 怪我をしない > 出口確保 >火の始末

情報収集:スマホ,携帯ラジオ,メモ帳,充電器.貴重品>家族・親戚安否確認

避難行動:バイク、自転車、ヘルメット型懐中電灯、軍手、安全靴、大バール、布テープ、紙、雨具、衣類

食料調達:水>固形食品、レトルト食品>カセットコンロ

衛生管理:ウエットティッシュ、トイレットペーパー、サランラップ>消毒液等

 

前提条件(最悪の想定)

首都直下型地震発生(M7.9)

  • ライフライン全停止(大規模停電、大規模断水、都市ガス、光回線不通)
  • 首都高速高架倒壊、鉄道の長期間不通、幹線道路損壊、大渋滞
  • 大規模火災の発生(環7~8周辺木賃ベルト地帯 )
  • 液状化現象発生(23区東部、ベイエリア)
  • 避難所容量の収容能力不足、食料・飲料水配給不足
  • トイレ不足、衛生状態の悪化、集団感染の発生
  • 医療機関の機能不全(野戦病院化)
  • ガソリンスタンド燃料不足、乾電池不足、物流の停滞、品不足、物価高騰
  • 治安悪化(放火、窃盗、恐喝、空き巣、デマの流布、集団パニック)
  • 自分や家族が行方不明、死亡、負傷

1. 地震発生:身の安全を図る

  • 落下物、建物の倒壊に注意し、頑丈な机の下に隠れる

2.出口の確保、火の始末

  • 出口を確保(扉を開く)
  • 初期消火活動開始(鎮火後ブレーカー落とす)
  • 室内でも靴を履く

3.情報収集

  • 家族へ安否送信(メール・LINE)
  • テレビ・ラジオ・インターネットで情報収集(メモ)
    → 震源地、最大震度、被害状況(火災有無、風向き、ライフライン被害)

4.避難行動

自宅内

  • 自宅の損壊が著しい(余震で倒壊の危険性あり)
  • 近隣で火災が発生/大規模火災が山手通 or 環七周辺で発生
  • 家のブレーカーを落とす
  • 家族に行き先、連絡手段を告げる張り紙
  • 貴重品、食料、道具類持ち出し
  • 移動:バイク >自転車

 自宅外

  • 家族に安否連絡(メール、LINE)
  • 飲料水、食料、地図の調達
  • 区域内滞留 or 避難を選択
  • 避難経路、目的地を検討
  • 区域外移動/区域内滞留

5.避難先

  • 火災発生エリアの風上方向
  • 震源エリアの反対方向
  • 広域避難所
  • 23区外避難/親戚宅
  • 親戚宅(バイク)→(鉄道・バス臨時便)→実家に疎開
  • 羽田空港 →(航空臨時便)→ 地方空港 →実家に疎開

 

交通規制(震度6弱以上が発生した場合)

首都圏の交通は、首都高、一般幹線道路、鉄道、地下鉄、バス、タクシー等全て使えないと仮定。

大規模火災が発生した場合は、バイク or 自転車で避難

大震災発生時の交通規制はこのようになります 警視庁

第一次交通規制

  • 国道4号(日光街道 ほか)国道17号(中山道・白山通り ほか)
  • 国道20号(甲州街道 ほか)
  • 国道246号(青山通り・玉川通り ほか)
  • 目白通り
  • 外堀通り
  • 高速自動車国道・首都高速道路

二次交通規制

1 「緊急交通路」の優先指定
緊急自動車専用路を優先的に緊急交通路に指定。
2 その他の「緊急交通路」の指定
被害状況を踏まえ、必要に応じ、次のような路線を緊急交通路として指定します。
第一京浜、第二京浜、中原海道、目黒通り、青梅・新青梅街道、川越街道、北本通り、
水戸街道、蔵前橋通り、京葉道路、井の頭通り、三鷹通り、東八道路、小金井街道、志木街道、府中街道、芋窪街道、五日市街道、中央南北線、八王子武蔵村山線、三ツ木八王子線、新奥多摩街道、小作北通り、吉野街道、滝山海道、北野街道、川崎街道、多摩ニュータウン通り、鎌倉街道、町田街道、大和バイパス

 

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出典:警視庁HP

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/saigai/jishin/kotsukisei.html

 

まとめ

  • 首都直下型地震では避難所が都内だけで500万人分不足する
  • 避難所は都内で4200箇所、救援物資の極端に不足する可能性
  • 道路の寸断、鉄道の脱線により移動の自由が制限される可能性
  • 震災直後、被災地域の外に避難するか早急に判断しないといけない

以上を参考にすると、首都直下型地震が起きた際は、早急に火災発生現場からなるべく遠くに早く避難することが大事。

被災直後から水、食料、生活物資が不足することを考えると、地方出身者は実家や親戚宅に疎開したほうが安全。

参考

首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画の概要

http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/pdf/syuto_oukyu_gaiyou.pdf

首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)

http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_siryo01.pdf

関東大震災時に火災旋風によって避難した広場で4万人以上が犠牲

横網町公園 - Wikipedia(犠牲者の写真あり)

 

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