こんにちは、ピコシムです。
ADHD(注意欠陥多動性障害)は、脳の機能障害が原因です。その中でも中心的な影響は、ワーキングメモリ(短期記憶)によって引き起こされています。
しかし、ADHDを含めた精神疾患は、その病名によって東アジアでは、罪と恥の意識から人に告白できず、家族で思い悩んでいる人が多くいます。
脳の機能障害という知識と啓蒙を進めていく上で、ADHDは何が問題か、どうするべきか考えてみます。
超要約:ADHD(注意欠陥多動性障害)
何が問題か → 日常生活、仕事、勉強が普通の人に比べて著しく困難
なぜ問題なのか → 本人の努力とは無関係に要領が悪い、成果が出せない
どこが問題か → 脳の機能障害(前頭葉)→ワーキングメモリの機能が悪い
いつ問題がおきるのか → 学校や会社、家庭内
どんな問題が起きるのか → 人間関係の悪化、本人が落ち込みうつ状態になる
どうすると良いのか → 薬を飲む(物理)、自分の障害を理解して行動を工夫する(ソフト)
ADHDは知能には問題ないが、脳の機能障害によって、仕事、学校、家庭生活が困難になる。
ワーキングメモリとは何か
ワーキングメモリ(working memory:作業記憶、作動記憶)
何かというと、
- 自分の頭の中で悩みすぎず、考えて行動すること
- 要領よく行動すること
に必要なものがワーキングメモリ。
これが問題だと大変!
- スマホに例えると、動作が重いくモッサリしている状態
- PCに例えるとCeleronなどの廉価版のCUPで動画編集てフリーズ
このような状態がADHDの人の脳内でも同じことが発生
ワーキングメモリに障害があると「何が問題」なのか?
- 悩み過ぎて行動できない
- 順序立てて行動できない(要領が悪い)
- 未知なことに想像力が働かない
どんな問題が起きるのか?
1次障害
- 会話が周りくどい,しゃべりすぎる
- 会話の内容を理解できない
- 読み書きができない
- 計算ができない
- 日常生活を順序立ててスムーズに行えない
- 学習しない(同じ失敗を繰り返す)
ざっくり言うと、のび太くんのようなタイプの人の行動です。
2次障害(1次障害が原因で発症)
- うつ病
- 引きこもり
- 不登校
- 学習意欲の低下
- 対人障害
- 気分障害
が、併発します。
学校で授業についていけず、先生に叱られ、クラスメイトにイジメられる。
仕事でミスが頻発し、上司に叱責、同僚から白い目で見られ、職場内で孤立。
自分はなんてダメ人間だと落ち込んだ結果、2次障害が併発。
脳のどこが問題なのか?
- 脳の前頭葉に問題(脳の前側にある部位)
- 前頭葉の血流が普通の人に比べてとても悪い
- 脳の神経伝達物質に異常がある
下の画像は、脳Spect画像です。
脳の血流を動画で見る医療技術。脳の働きを見ることができます。
出典:Healthy VS Unhealthy | Daniel G. Amen, MD | Amen Clinics
ADHDの少女の脳(左)治療前 (右)治療後
出典:精神病を脳スキャンから診断 トラウマで脳は損傷する - ログミー
ADHDの脳は物理的に問題を抱えていることがわかります。
注意欠陥や多動性の症状は、脳のダメージが原因になって、その結果日常生活が困難になっています。
なぜ前頭葉に問題が起きたか?
- 遺伝的原因
- 何らかの衝撃で脳機能が破損
と考えられています。
吉益(2009)の妊娠期の母親を対象にしたADHD症例児童の対照研究によると、
- 母親のADHD傾向
- 妊娠中の精神的ストレス
- 父親と母親の精神疾患既往
- 妊娠中の母親の喫煙
が、ADHDの発症原因と高い関係性にあります。
特に両親の遺伝的要因は統計的に正の相関があります。
一方、
両親の学歴や家庭の収入など社会経済要因において、子どものADHD発症差はない
という、研究結果がでています。
ADHDは普段のスペックがは低いけど、特定の興味のある分野は、猛烈に得意で成果を発揮します。
マリオがスターを取って無敵状態に似ています。
東アジアに共通する『心の病』に対する恥と罪の意識
アジア圏に住む人たちは、精神科や心療内科に行くのをためらう傾向があると、2004年Natureの論文では伝えています。
(東アジアでは)心の病を道徳的なもろさ(moral weakness)のあらわれであると、伝統的にみなす傾向のある社会で軽視されてきた、精神衛生に関する積年の問題が露わになりつつあるのだと主張する専門家もいる。と Chiu は語る。
「精神疾患であることは、当人と家族にとって、大きな恥と罪の意識に結びつけられるのです」
これは精神疾患(脳の機能障害)についての無知や偏見が原因です。
Natureの論文発表から12年が経ち、精神疾患についての偏見は徐々になくなりつつあります。
昨今はてなブログでも、自らの精神疾患について告白するユーザーが多く、関連するコミュティが多数開設されています。
マンガで分かる心療内科など、より分かりやすくメンタルヘルス情報を取得できる環境になりました。
人の気持や意識は脳の物理現象です。当然、投薬での治療はアメリカや欧米では一般的です。
今後、脳Spect画像や、光トポグラフィ装置の医療現場での普及と、日本での保険診療が可能になれば、
整形外科医がレントゲンを撮影して診断するように、精神科医は脳の血流や画像を撮影して正しい診断ができるようになるでしょう。
脳の損傷や機能障害は可視化で診断する時代へ
脳神経医、作家 Daniel Amen(ダニエル・アーメン)氏は、8万3000人もの脳をスキャンして、認知症や精神疾患と脳の損傷の関連性を明らかにしました。
参照動画:The most important lesson from 83,000 brain scans | Daniel Amen | TEDxOrangeCoast - YouTube(英語)
日本では光トポグラフィ装置という機械も普及し始めています。
全額負担で1万2030円(税別)で診察するクリニックもあります。
光トポグラフィー検査 | 磁気刺激によるうつ病治療なら新宿ストレスクリニック
薬なしでワーキングメモリを鍛えるのはムリと再認識
理由は、
- 薬を飲み忘れた時、仕事で注意を払っているつもりでも注意散漫になる
- 1時間でも素の状態に戻ったら、薬の効果が切れたと明確に実感できた
- 短期記憶ができない。何度もメモを見直す(それでもミスをする)
- 簡単な計算に時間がかかる、事務処理の効率が劇的に下がる
- 自分がミスに許容できても、周囲の人間関係に悪影響
結論
- ADHDの人が薬を飲まずワーキングメモリを鍛えることは非効率
- ADHDは、脳の機能障害 ワーキングメモリの問題→ ノルアドレナリンの不足が原因だから
- 自分の意思や努力、本来の素質や性格に関係なく、パフォーマンスが上がらない
- コンサータやストラテラを服用した方が100倍楽と実感
薬を飲むか、飲まないかは自由ですが
私たちは、奇跡的に、今の時代の日本に生きていて、偶然にも、大人のADHD治療薬が2つもあります。
2012年に成人への処方が認可されたストラテラ、
2013年にコンサータ錠の成人への処方が認可され、
幸運にも、自立支援法と保険医療制度の適用で、1割負担のみで服用できるのです。
私は、ADHDの治療薬の服用を選択しました。
今の日本に生きていて本当に良かったと思います。
もし、ADHDかもとお悩みなら、画像診断できる心療内科や精神科に行って、正しく診断してもらい、薬を処方してもらいましょう。
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!
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